レプリソーム旅行記 Vol.21 デビッドソン大学

1F席への入り口
ベルクアリーナの入り口の前まで戻ってきました。
これから1Fへ向かいますが、画像の通り、そこへ続く階段はアリーナ入り口のそばにあります。
2F席へはそのまま入り口へ、1F席へはこの階段から、とここで入り口が分かれています。

階段を下りると
階段を下って振り向くとこんな感じです。
画像の中央上部には、さきほどのロビーの特徴的な天井が見えます。
そして、階段の手すりはチームカラーの赤。

1階席
階段を下りて来て、真っ先に目に入ったのはこの案内。
このまま真っ直ぐ進むと、ベルクアリーナ1階席です。

掲示物
階段から通路へ下りて、辺りを見回すと…壁にはヤマネコの足跡が入った掲示物。
試合が行なわれていなくとも、デビッドソン大学に来ている実感がわきます。

水飲み場
更に辺りを見回すと…水飲み場。
やはりここでもチームカラーの赤が。

The Wildcat Den
階段のすぐ脇には、買ったらその場で食べられるフードコートがあります。
その名も、 The Wildcat Den 。
直訳するとヤマネコの巣・ねぐらですが、Den にはその他にも書斎や隠れ家という意味もあるので、デビッドソン大学を応援する人達が集う場所、といったところでしょうか。

お店にも
やはりお店にも、カウンターの縁はチームカラーの赤、そしてイスも。
自分達のチームへのこだわりの強さを感じさせます。

お店のバナー
天井から吊るされたこのお店のバナー、チームカラーの3色とロゴが配されており、かなりしっかりした生地でできたバナーです。

通路に
フードコートを離れて通路を歩いていると、こんな壁が。
くぼんだ壁に写真が、そしてその先の壁にはチームロゴとチーム名がプリントされており、更にその先のくぼんだ壁にも写真がプリントされています。
文字でご説明すると、
■  ロゴ WILDCATS  ■

■…くぼんだ壁の写真
という具合です。

Mr. Cat
くぼんだ壁 その1、マスコットのミスター・キャットです。
メガホンを持って、会場を盛り上げている様子のようです。

試合当日
くぼんだ壁 その2、試合当日に応援する観客です。
お気づきでしょうか?。
写真の中には、背番号 30 のジャージを着て応援する人の姿も散見されます。
当時からのカリー選手の人気を物語っています。

お気づきでしょうか? その2
もう一点、お気づきでしょうか。
WILDCATS の文字の影が赤であることに加え、天井もチームカラーの赤、そして照明が並ぶラインも同じくチームカラーの黒。
自分達のチームやアイデンティティを、本当に大事にしているのが感じられます。

さらに通路を
さらに通路を進みます。

壁には、アスリート達の大きなフォトパネル5枚に、Dのロゴマーク、そして横長のフォトパネルが飾られています。
文字でご説明すると、
■ ■ ■ ■ ■ D 【横長パネル】

■…選手のフォトパネル
という具合です。
手前の2枚は、男子バスケットボール選手と女子バスケットボール選手です。

横長のパネル
横長のパネルです。
Wildcats の文字の中に、マスコットのミスター・キャット、バスケットボール選手達が描かれています。

Dロゴのライン
フォトパネル間のDロゴ。
大学のイニシャルのDに、チームカラーの赤がアクセントとして入れられ、ヤマネコの爪あとのような3本のラインが印象的です。
1つ前の画像からも見てとれますが、WILD のDだけにこの爪あとが入っています。
チーム名 WILDCAT の D、大学名 Davidson の D と、共通する文字にだけ、こうしたアクセントが入っているのはお洒落な印象を受けます。

更に進むと
更に進むと、館外への出入り口が見えてきました(画像 左)。ずっと進んでいくと、冒頭のハリー L. ヴァンス アスレチックセンター入り口へ出ることになります。
先ほどと同じデザインの壁が右手に現れました。
その逆側はどうかというと…。

All Hail
壁に All Hail O Davidson 、ようこそデビッドソンへとプリントされています。
本来なら、こっちからコートへ向かうのが普通なのですが、先述の通り、本日は入り口が閉鎖されているため、ゴールからスタート地点に向かって歩いてきたことになります。

やはり文字は赤、爪あとのような3本線もグレーで入れられています。

Stephen Curry
今回のお目当ての選手、ステフィン・カリー選手です。
この選手の登場で一躍有名になりましたが、過去にはドラフト1位の選手(フレッド・ヘッツェル)も輩出した大学です。
そうした選手をさしおいて、こうして飾られているのは、いかに大学へ影響を及ぼしたかを讃えているかのようです。

色々なカリー選手の姿を捉えた写真の左側には、優勝やMVPなどをはじめとする、NBAで受賞した賞の数々がリストアップされています。

その中でも
地元デビッドソン郡での買い付け先にて、
「この選手が登場して以来、仕事がすごく忙しくなった」
「よく地元大学の商品が売れるようになった」
と耳にしましたが、もっとも人気なのはやはりこれでした。

余談ですが、筆者にはずっと疑問に思っていたことがありました。
Stephen Curry と書くカリー選手、読み方はステフィン・カリー。
NBAにはかつて、Stephen Jackson という選手がいましたが、読みは、スティーブン・ジャクソン。
他にも、Stephen Graham(スティーブン・グラハムまたはグラアーム)、D J Stephens(D J スティーブンス)、sonがつくものの Lance Stephenson(ランス・スティーブンソン)といった選手らの「Stephen」はみなスティーブンだったので、カリー選手も当初はスティーブン・カリーと読むものと思っていました。
が、「彼のあのつづりで、地元ではどう呼んでるの?」と聞いたところ、やはりステフィン。
映画「ゴッドファーザー」で、移民局の役人が移民の姓のつづりをアバウトに書いてしまうシーンがありましたが、Stephen と Steven とが存在したり、Stephon ももとは Steve というのも、その名残りと言われています。

チケットオフィスの…
その向かい側にはチケットオフィスがありますが…窓の向こうに見えるあれは…。

2008年のエリート8
マスコットロゴと大学名が入ったチケットホルダーのバナーと、2008年のトーナメントでエリート8まで進出した対戦成績と、選手達の姿を捉えたポスター。
ポスター左側の中央に写っているのがカリー選手です(赤枠はその拡大です)。

Harry L. Vance Lobby
ここがこのアリーナ、最後の見所。
この建物、ハリー L. ヴァンス アスレチックセンターと同じく、ハリー L. ヴァンス ロビーという名前です。

何かを陳列しているショーケースがいくつか、その奥では大きなマスコットのロゴが見えます。
ちょっと見に行ってみます。

ロゴの正体
これがあの大きなロゴの正体です。
壁に大きな液晶スクリーンが設けられており、大きなロゴを忠心に、色々な人が写った画像がモザイクタイルのように並べられています。
静止画なのでお伝えしきれないのですが、実際は、このタイルのような、白黒のたくさんの画像は、ゆっくりと画面の上から下へと動いています。

その中身は…
その色々な人達というのは、デビッドソン大学のアスリート達です。
画像の通り、NCAAロゴの画像の下に、先述のマローイ選手が写っています。

仕掛けは…
仕掛けはただ動くだけでなく、画像達がある一定量動くと、大きなロゴが消え、所々にカラー画像へと変化します。

カリー選手も
カリー選手もこの通り。

液晶画面の左側
液晶画面の左側です。
壁をくり抜いて、色々なものが陳列され、特にフットボールが数多く飾られています。
その中で目をひくのが…。

1966年
このバスケットボールです。
特に説明はありませんが、
1966
Southern Conference
CHAMPS
Davidson 80 WestVirginia 69
とありますので、
1966年にサザンカンファレンストーナメントで優勝した試合で使われたボールのようです。
もう50年前のボールですので、とても貴重です。
先述の永久欠番 #10 ディック・スナイダー選手のチームでのことです。

箱型の何か
カリー選手が写った箱型の何か。
これは、直方体の箱になっており、前・右・左・うしろの4面に、各種目のワイルドキャッツについて、または彼らが成し遂げた戦績について語られています。
画像中、左はカリー選手、右はボブ・マクキロップHCです。

名前の下に
名前の下には、カリー選手の大学での活躍ぶりが語られています。
ここに書かれている内容に、ガイドからの受賞や全米記録(ベスト10内)を加えてご紹介します。

全米ランク
 1試合平均得点:1位(2009年)、4位(2008年)、9位(2007年)
 1試合平均3ポイント成功数:5位(2009年)、2位(2008年)、4位(2007年)
 フリースロー確率:9位(89.4% 2008年)
 consensus オールアメリカン(2nd):2008年
 consensus オールアメリカン(1st):2009年

サザンカンファレンスアワード (以下、カンファレンス名は省略)
 オールフレッシュマン:2007年
 フレッシュマン・オブ・ジ イヤー:2007年
 アスリート・オブ・ジ イヤー:2008年、2009年
 プレイヤー・オブ・ジ イヤー:2008年、2009年
 オールトーナメント 1st:2007年、2008年
 オールトーナメント 2nd:2009年
 トーナメントMVP:2007年、2008年
 オールサザンカンファレンスチーム 1st:2007年〜2009年
 プレイヤー・オブ・ジ ウィーク
  2006-07シーズン:3回
   2006年 11月21日、2007年 2月13日、2月20日
  2007-08シーズン:5回
   2007年 12月3日、2008年 1月28日、2月4日、2月11日、2月18日
  2008-09シーズン:8回
   2008年 11月18日、11月25日、12月9日、12月16日
   2009年 1月20日、1月27日、2月3日、3月3日
 プレイヤー・オブ・ザ マンス :2006-07 1月、2月
 プレイヤー・オブ・ザ マンス :2007-08 11月〜3月
 プレイヤー・オブ・ザ マンス :2008-08 11月〜1月

学内歴代ランク

得点
 キャリア通算:1位(2635得点)
 シーズン通算:1位(974点:2008-09)、2位(931点:2007-08)、5位(730点:2006-07)
 シーズン平均:1位(28.6点:2008-09)、6位(25.9点:2007-08)

フィールドゴール
 キャリア通算試投数:2位(1866本)
 シーズン成功数:1位(317本:2007-08)、2位(312本:2008-09)
 シーズン試投数:1位(687本:2008-09)、2位(656本:2007-08)、8位(523本:2006-07)

3ポイント
 キャリア通算成功数:1位(414本)
 キャリア通算試投数:1位(1004本)
 シーズン成功数:1位(162本:2007-08)、2位(130本:2008-09)、3位(122本:2006-07)
   ※2007-08シーズンの162本は、NCAA記録。
 シーズン試投数:1位(369本:2007-08)、2位(336本:2008-09)、3位(299本:2006-07)

フリースロー
 キャリア通通算成功数:1位(479本)
 キャリア通通算試投数:7位(547本)
 シーズン成功数:1位(220本:2008-09)
 シーズン試投数:2位(251本:2008-09)

アシスト
 シーズン通算:8位(189本:2008-09)
 キャリア通算:8位(388本)

スティール
 シーズン通算:1位(86本:2008-09)、2位(73本:2007-08)、8位(62本:2006-07)
 キャリア通算:3位(221本)

40得点超-通算試合数:6回(+39得点3試合)

デビッドソン・ワイルドキャッツ 2007〜2009
ここで、カリー選手が在籍していた3シーズンのチームスタッツを、大学歴代ランキングでご紹介。
カリー選手のプレイスタイルから予想した通り、フィールドゴール試投数のベスト3を占め、その確率はベスト5にも現れていませんが、成功数や得点数、各ディフェンスのスタッツも好成績で、攻守のバランスの良さがうかがわれます。

大学歴代ランキング - シーズン通算

得点数
 1位(2803点/36G:2007-08)、2位(2765点/34G:2006-07)、3位(2724点/35G:2008-09)

フィールドゴール試投数
 1位(2199回/36G:2007-08)、2位(2194回/35G:2008-09)、3位(2157回/34G:2006-07)

フィールドゴール成功数
 1位(1032回/36G:2007-08)、3位(969回/34G:2006-07)、4位(957回/35G:2008-09)

3ポイント試投数
 1位(901回/36G:2007-08)、3位(888回/34G:2006-07)、5位(859回/35G:2008-09)

3ポイント成功数
 2位(328回/34G:2006-07)、同2位(328回/36G:2007-08)、4位(305回/35G:2008-09)

リバウンド数
 3位(1378本/34G-465o-913d:2006-07)、4位(1357本/35G-457o-900d:2008-09)

アシスト数
 1位(615本/36G:2007-08)、3位(559本/34G:2006-07)

ブロック数
 4位(114本/36G:2007-08)、5位(113本/35G:2008-09)

スティール数
 2位(290本/36G:2007-08)、3位(285本/35G:2008-09)、4位(272本/34G:2006-07)

1シーズンでのホームアリーナチケット完売回数:13回(2008-09)

連続ホームアリーナチケット完売回数:11回(2008年 12月 13日 〜 2009年 2月 28日)

G …試合数、o …オフェンスリバウンド、d …ディフェンスリバウンド


各シーズンの勝率
 2006-07シーズン(29勝-5敗 うちカンファレンス内:17勝1敗)
 2007-08シーズン(29勝-7敗:20勝0敗)
 2008-09シーズン(27勝-8敗:18勝2敗)

ドリーセル&スナイダー
カリー選手の箱の左側です。
ディック・スナイダー選手と、当時のHC、チャールズ “レフティ” ドリーセル監督について語られています。

フレッド・ヘッツェル
こちらの面は、フレッド・ヘッツェル選手について語られています。
ボックスの説明には、先ほどの内容に加え、1966年のNBAオールルーキー(All-Rookie honorrs)を受賞したとあります。
さすが、NBAドラフト1位指名が、ダテではないことが感じられます。

謎のトロフィー
気になっているこの箱の中身…トロフィーですが、説明の肝心なところにネットがかかっていて読めません。
かろうじて読めるのは…本体のリストに、ディック・スナイダー選手やその他の選手の名前が刻まれており、台座には、アシスタントコーチがテリー・ホーランド氏と刻まれています。

ディック・スナイダー選手が在籍していたのは 1963-66年、メディアガイドによると、テリー・ホーランド氏がアシスタントコーチだったのは 1964-69年、また、ネットのすき間から見える「PIONS」の文字。
そして、個人受賞ではなくチームが受賞したトロフィ…となると、1964年〜1966年の間にチームが何かしらのチャンピオンになったのは、1966年のカンファレンストーナメント優勝、1964、1965、1966年のレギュラーシズンチャンピオンですので、いずれかの優勝トロフィと思われます。

ボブ・マクキロップHC
1989-90シーズンからデビッドソン大学・ワイルドキャッツを率いる、18代目のバスケットボール監督、ボブ・マクキロップ氏。カリー選手も師事しました。
2016-17シーズンで、28回目のシーズンを迎えることになり、これまでの戦歴は、516勝 - 313敗(カンファレンス 314勝 - 116敗)。

 10回のカンファレンス・コーチ・オブ ジイヤー
 2008年 NABC ナショナル・コーチ・オブ ジイヤー
 2008年 コーチ・クレアー ビー賞
       (Coach Clair Bee Award)
 2007年 ヒュー・ダーラム賞 ファイナリスト
      (Hugh Durham Award)
 2008年 ヒュー・ダーラム賞 ファイナリスト
 ニューヨーク市バスケットボール Hall of Fame

と、数々の賞を受賞しています。

また、シーズンガイドによると、1女2男の子供がおり、いずれもデビッドソン大学を卒業し、息子2人は父親を監督にバスケットボールをプレーしました。
上の息子、マット・マクキロップ氏は2016年現在で父親の下でアシスタントコーチを、下の息子ブレンダン・マクキロップ氏は、ニューヨークでNBAの仕事に就いているそうです。
まさに、バスケットボール&デビッドソン一家です。

エリート8
カリー選手の功績といえば、NBA優勝がすぐ思い浮かびますが、この大学ではチームをエリート8まで導いたことです。
前回、デビッドソン大学がエリート8まで進出したのは1969年のこと。
それからすでに、約40年が経過していました。
このショーケースには、2008年当時のメモラビリアが納められています。


   
サザンカンファレンス・トーナメント優勝 2008
サザンカンファレンス・トーナメント優勝のプラークです。
中央のてっぺんには、カンファレンスのロゴがあしらわれ、左右にはカンファレンスに所属しているライバル校の名前が書かれています。

この習慣は、同じ州にあるノースカロライナ州立大が始めたとされていますが、NCAAでは恒例のゴールネットのカット。
ショーケース内の、マクキロップHCのこの写真(右画像)からも予想される通り、プラークにかけられているネットは、サザンカファレンス優勝時のものと思われます。

記念ボール
2008 NCAA DIVISION I
MEN'S BASKETBALL CHAMPIONSHIP
1ST/2ND ROUNDS
とあります。

この年は、地区決勝でカンザス大に敗れはするものの(57-59)、準決勝でウィスコンシン大に勝利(73-56)していますので、1回戦のゴンザガ大(82-76)、2回戦のジョージタウン(74-70)に勝利した時点の記念ボールのようです。


   
赤いジャージ姿
いまさらご説明するまでもありませんが、ハドルの左側に写っているがカリー選手です。
もう一方の画像の通り、大学時代から背番号は30。
NBAでは、ウォリアーズの青いジャージに身を包んでいる姿を見慣れているためか、赤いジャージ姿は新鮮に感じられます。

現代の攻撃型チーム
3年間、この大学でプレーしたカリー選手。長々とその記録・軌跡をご紹介してきましたが、ここを去る前にもう1つ。

学生の頃から、3ポイントを武器にしていたのは、試投数が3年連続トップであることからもわかります。
バスケットにおいて、一般的に長距離シュートは水ものとされ、えてして90年代以前の攻撃型チームは、大量得点と引き換えに失点も大量で、確実な勝利に結びつかないのが、しばしばでした。

しかしながら、カリー選手が在籍した3年間のチームは、攻撃のチームスタッツはもちろん、大学の歴代で、
 リバウンド:3位(2007年)、4位(2009年)。
 スチール:2位(2008年)、3位(2009年)、4位(2007年)。
 ブロックショット:4位(2008年)、5位(2009年)。
と、攻守のバランスが取れていたことが、うかがわれます。

2017年現在で、カリー選手を擁して2度優勝したウォリアーズもですが、現代の攻撃型とされるチームは、かつての攻撃型チームよりも進歩しているのかも知れません。

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