旅行記Vol.13 Naismith Basketball Hall of Fame

Hall of Fame 概略図
Hall of Fame 館内の地図です。
1〜3Fまで吹き抜けとなっており、各フロアの外周(緑の中にある円状の黒い箇所)をグルりと回って、
3F→ 2F→ 1F
と降りてくるのがスタンダードコースとのことです。
ここでは2Fをご紹介します。

Dr. Naismith
このフロアの入り口です。
冒頭から、 Hall of Fame と連呼しておりますが、この Hall of Fame という博物館の正式には、『 The Naismith Memorial Basketball Hall of Fame 』といいます。

この Naismith 氏こと、ネイスミス博士こそ、バスケットボールの発案者です。1891年の博士の発案なくしては、マイケル・ジョーダンも漫画 SLAM DUNK も今の時代に、今のような形で存在し得なかったかも知れません。

この旅行記のTOPページにボールを持ってたたずんんでいる男性が、ネイスミス博士、ありし日の姿です。画像では、ボールと桃の収穫カゴ(当時のバスケット:後述)を携えた、博士の彫像が写っております。

裏には
上の博士の人形が飾ってあるすぐ裏には、画像のようなショーケースがあります。
若かりし頃の博士の写真や、当時のボールなど博士に関する物が収められています。

このフロアは・・・
3FがHall of Famerの写真と年表・記念品で飾られていたのに対し、このフロアは画像の通り、珍重な品々が納められたショーケースや、アトラクションで埋め尽くされています。

日本人にとってレアな写真も撮影してきました。
このフロアはぜひご覧下さい。

1900年のユニフォーム
1900年当時のスミス・カレッジ男子バスケットボールのユニフォームです。
現代では、ナイロンやポリエステルなど化学繊維でできている場合がほとんどですが、当時はウール製でした。

こちらには
こちらには、3点の品が飾られています。
1つずつご紹介。

画像のツナギのような物は、1893年当時の物でスミス・カレッジ女子チームのユニフォームです。
こちらの上下ともウールでできています。

ルールブック
男子用のオフィシャル・ルールブックです。
初版は1896年で、100年以上も前の品です。

初のバスケットボール
マニファクチュアで作られた、初めて実用化されたバスケットボールです。
何となくラグビーボールにも見えますが、この頃から SPALDING 社が生産していました。

YMCA
「S」のロゴが入ったこのジャージは、1910-1920年に使われていた、YMCA のユニフォームです。
約1世紀前の当時の品です。
解説によると、当時は背番号や選手の名前がないのが普通、とあります。

ハイスクールジャージ
この Hall of Fame のあるスプリングフィールドに存在する、Cathedral High School のジャージです。
1927-1928とありますので、約80年前の品です。

審判用
一見、選手用のジャージーに見えますが、こちらは高校の審判用ジャージです。

1923年大阪
どのショーケースにも、壁には大きく引き伸ばされた写真が、添付されております。
この写真に写っている人達・・・アメリカにあって、なぜか親近感をおぼえます。よく見てみると・・・。
ご覧の通り、写っているのはアジア人です。

1923年の5月に大阪で撮影された物です。
解説によると、「中国 vs. 日本」。
白いジャージを着用しているのが中国の選手です。
「 Easter Champion Ship Game 」とあります。
特に説明がありませんが、東アジアの決勝戦・・・ということでしょうか。
当時は屋内ではなく、ストリートバスケのように野外で行なわれていました。

今回の目玉
この写真が、今回の1番の目玉です。
日本で初めて行なわれたバスケットボールの試合の模様で、1915年(大正4年)の大阪です。
当時の日本人にとっては、「海外から渡ってきた、ルールも何もかも初めてのスポーツ」のため、審判は海外に詳しい新聞記者が務めたとあります。

当時は、もちろんまだ3ポイントラインはなく、ゴール前も台形ではありませんでした。今では、ゴール前が台形になっているため、すでに死語になっていますが、「 Top of the key 」の言葉の通り、ゴール前が鍵穴のような形をしています。そして、センターサークルからゴールまでの距離が、とても短いことがわかります。

何より時代を思わせるのは着物姿。
 「お主、線を踏んでござる」
 「あいや、すまんでござる」
大正時代の写真なので、こんなお侍言葉はすでに使われていなかったと思われますが、どこかしらか聞こえてきそうな雰囲気です。

そして9年後・・・
そして、上の写真から9年後、1924年。場所は同じく、大阪で撮影されたものです。
ユニフォームが現在と同じ、ショーツとジャージになっています。

初のボール
1891年12月21日に行なわれた、最初の試合に用いられたボールは、当時のサッカーボールでした。
当時はまだ「バスケットボール専用ボール」が確立されていなかったため、サッカーボールを代用として使用したとあります。

画像のボールは1960年代のボールですが、当時のものとデザインがよく似ていることから展示されているとのことで、現在のバレーボールに大変よく似ています。

初の革製ボール
初めて革製ボールが作られたのは1894年のことで、ゴムでできた球体に皮製のパネルを貼り付け、最後に縫い合わせた物が使用されていました。
当時のボールは近代のものよりも、やや大きかったと記されています。
画像のこのボールは、1926年に使われていた同じつくりのボールです。

女子ユニフォーム
特に詳しい説明はありませんが、女子チームのユニフォームです。
1915とあるのを見ると、1915年の品もしくはチームのユニフォームと思われます。

改良されたボール
「1928年に、縫い目のないボールが開発され始め、よりドリブルがしやすくなり、それに伴なって試合の流れのペースが早まった。 1940年代後半には、プロ、大学バスケットに浸透した。」とあります。
画像左は、1942年当時に使用されていたボールです。

右は、1930年から1950年頃のシューズです。
ミッドカットくらいの高さですが、バスケットボールシューズというより、まるでボクシングのシューズです。

シューズ & ソックス
このシューズは上の物のより更に古く、1920年頃のシューズです。現代のスポーツシューズから、いささか、かけ離れた形をしています。
そのとなりの緑色の物体は、当時のソックスです。
大きさは、女子高生の履くルーズソックスなみに大きなソックスです。

ニーパッド
このK1のグローブのような物は、下の画像の通り、当時のニーパット、ヒザあてです。


NBAエンサイクロペディア付録P9から引用

All American
画像右の長袖の上下は、 All American のウォームアップウェア、その左隣の白い上下は、1930年当時の女子のユニフォームです。

プロチームのユニフォーム
当時、数少なかった頃のプロチームのユニフォームです。
現在も、この当時の面影を残したデザインや HWCシリーズのジャージで目にする機会があるためか、左から2番目のジャージがセルティクスのものと、一目でわかります。
その2つ右にあるのはピストンズのジャージです。
詳しくは次で。

Zollner Pistons
半分画像から切れてしまっていますが、白いタンクトップに青いショーツが画像左に見えます。
このタンクトップには「 Zollner 23 Pistons 」とあるのですが、現ピストンズのことです。
この「 Zollner 」というのは、ピストンズ創設者 Fred Zollner 氏の名前で、地名・チーム名をジャージに入れるのが普通である近代では珍しいデザインです。

そして画像中央にある同じく長袖の上下にも、「 Zollner Pistons 」とあります、特に説明がありませんが、当時のピストンズのウームアップウェアと思われます。

他には
この他には、古くからの選手から最近の選手まで、NBAからWNBAやNCAAまで、実際に着用していたジャージが飾られています。

目を引いたのは、レブロン・ジェイムス選手のハイスクール・ジャージです。若手ながら、周囲から期待されているのがわかります。

今回の目玉 その2
このジャージも、今回の目玉の1つです。
故ウィルト・チェンバレン選手が、1試合で100得点した話は有名ですが、その試合で着用していたジャージです。
かなりいたみが激しいですが、この博物館でも入手が困難だったとのことで、競売にかけられていた物をなんとか競り落として入手したとのことです。

また、チェンバレン選手の100点ゲームで有名なのは下の写真です。
確認はとれていませんが、この写真が試合直後に撮影されたとすると、この写真に写っているジャージが、画像中のジャージということになります。


NBAエンサイクロペディア付録P24から引用

UTICA
ニューヨークにある UTICA カレッジのジャージと、優勝トロフィーです。

NBL & BAA
こちらは、NBAを始めとする現存のアメリカプロバスケットボールリーグを支えてきた、またはその基盤となった、BAAやNBLのジャージが飾られています。

プロリーグのあゆみ
プラスチックのパネルに、選手や審判の写真が写っています。
この画像では確認できませんが、これまでのプロリーグがどのように歩んできたかを、かいつまんで説明しています。

その裏には・・・
そしてパネルの裏側に回ると、このようにショーケースが隠れており、やはりその中には当時の記念品が解説とともに納められています。

Bob Cousy Award
Hall of Fameには、モーダン・ウッテン賞、マニー・ジャクソン賞、ジョン・バン賞、カート・ゴーディ賞など、色々な賞があります。
その中の1つ、NBAのショーマンの1人として有名なボブ・クージー選手の名前がついた賞のコーナーです。

ここでは
画像は、上の画像のお向かいにあるものなのですが、ここでは、賞の詳しい説明よりも面白い写真を見つけたので、そちらをご紹介したいと思います。

シェリル・ミラー
ご存知、レジー・ミラー選手の実姉シェリル・ミラー選手です。
現在では試合中にレポーターとして姿をしばしば見せてくれますが、この写真当時はまだ現役だと思われます。
ある意味、貴重な写真です。

コービー & ガーネット
こちらは、ゲビン・ガーネット選手とコービー・ブライアント選手です。
いずれも高校時代の写真ですが、リーグ入りして試合で目にしているのが、その卒業後からなので、あまり外観の変化が感じられません。

Zo
こちらは、高校時代の Zo ことアロンゾ・モーニング選手です。
この当時もセンター・・・だったと思われますが、外観はどう見てもガードのような体格です。
こちらもある意味、貴重な1枚です。

年俸
左からチェンバレン選手(1962年・一試合平均50点以上・$65,000)、カリーム・ジャバー選手(平均31点以上・$249,996)、レブロン・ジェイムス選手(平均27点以上・$4,320,360)と、年代ごとの大型契約選手の(おそらく)年俸と一試合平均得点が書かれています。

時の流れにそって「リーグの発展に伴い、契約金も増額となり、求められるエース像も変わってきた」というものなのか、「1得点あたりの単価が近代では下がってきている」という主旨なのか、考えさせられる内容です。

Paul Pierce
次のコーナーに移動中、通路の片隅にこんなショーケースが。
セルティクスのポール・ピアース選手のものです。
大変優秀な選手ではありますが、まだそのキャリアの中で優勝や前人未到の記録を打ち立てたわけでもないからか、飾られてあっても、こんなに隅っこにあります。
地元選手とのつながりの強さが窺えます。

通路
通路の壁には、カリーム・ジャバー選手やマジック vs. バードの絵、バード選手の人形が飾られており、移動中も飽きさせることがありません。

アトラクション
アトラクションコーナーです。
先ほどとは違って見るだけでなく、触れたり・動かしたり、参加もできるというものです。
こちらは、大きさの異なるバスケットの中に、異なる大きさのボールが封じ込められています。
バスケットの脇は、手が入れられるように開いており、「どの大きさまで握って持ち上げられる?」というものです。

鳥人アトラクション
こちらは、ビンス・カータ−選手の写真パネルにセンサーがついており、触った高さに応じて得点が出るというものです。
どれだけ高く飛べるか、というものですが、カーター選手というのがピッタリなアトラクションです。

鳥人 その2
こちらは見るだけなのですが、とても高いゴールの下にハーレム・グローブトロッターズの選手の等身大の立て看板があります。
この選手の身長は 180cm とちょっとなので、ゴールの高さは、ゆうに 3m 以上あるのは、おわかりいただけると思います。
説明によると、この選手はこの高さでもダンクできるとのことで、こうした得意スキルでは、NBA選手をも凌ぐ能力を持つトロッターズの選手ならではです。

バーチャルバスケット?
こちらは、ある位置に立つと自分の姿をカメラが認識し、モニタ(2枚目の画像)に映し出してくれます。
そしてモニタの中では、バーチャルな世界の選手が待っており、彼とこの世界で1on1ができるようにできています。
相手の動きは、プレイヤーの目の前のモニタ(1枚目の画像右側にある黒い物体)でわかるようです。

最長と最小
NBA史上、最長身のマヌート・ボル選手(231cm)とマグジー・ボーグス選手(160cm)です。
親子ほどの差があります。

シアター
バスケットボールのシアターもあります。
フラッシュをたくと白くなってしまい何も写らず、フラッシュなしでも画面の光源が弱いためこのくらいにしか写りませんでした。

アナウンサー
Hall of Fame では、 Contributor に分類されるアナウンサーのコーナーです。

クイズ
こちらはクイズの機械です。
手の平のマークの周りに4つの○が見えますが、これらはアナウンサーの顔写真がついたボタンです。
そして、画像左下に写っているスティック状の受話器を持ち上げると、アナウンサーの誰かがしゃべっているのが聞こえます。それが誰かを、ボタンを押すことで当てるアトラクションです。
かなり通の方や地元の方でないと難しい代物です。

再び
上のメモラビリアコーナー以外に、NCAAを中心にした同コーナーがあるので、見てみようと思います。

UCLA
UCLAといえば、レジー・ミラー選手とカリーム・ジャバー選手ではないでしょうか。
ジャバー選手のサインの入ったシューズが見えますが、実は#31のユニフォームは、ミラー選手ではなくエド・オバノン選手の物です(#31は同大学で永久欠番)。

そして、もう1枚の画像には、腰に手を当ててインタビューに答えるジャバー選手(この頃はルー・アルシンダーという名前)の写真が見えます。

ノースカロライナ大
ノースカロライナ大です。ジョーダン選手やカーター選手よりも、ディーン・スミスコーチに焦点が当てられており、コーチが当時着用していたスーツや、700勝を挙げた記念ボールが飾られています。
ジョーダン選手の物といえば、当サイトでも販売しております、82年優勝記念ソーダくらいです。

DUKE & シラキュース大
DUKE大とシラキュース大のコーナーです。
シェーン・バティエ選手のジャージが見えます。
シラキュース大の方にも背番号1のジャージが飾られています。

ロッカー
上のようなメモラビリアコーナーの片隅に、写真など飾られたロッカーがあります。

作戦・戦術
各大学のコーチの写真の他に、ディーン・スミスHCの4コーナー・オフェンスなど、各コーチが得意とする作戦・戦術を、図解しています。

ロッカーの中は
このロッカーは単なる飾りではなく、画像の通り、本当のロッカーのようにトビラが開きます。
中に物は収納できませんが、代わりにその当時の写真やその時のエピソードが書かれたパネルが納められています。

NBA
もちろん、チームやヘッドコーチがいるということでは、NBAも同じです。
歴史ある代表的なチームとコーチが飾られています。

ニックス・ブルズ・ピストンズ
セルティクスと並んでNBAのフランチャイズで、最長の歴史を持つニックス、ショーケースの中にはチームを支えた、ウィリス・リード選手(#19)と、パトリック・ユーイング選手(#33)のジャージが納められています。

みなさんも良くご存知のジョーダン選手率いるブルズ、最初の3連覇の主要3名の選手のジャージと、フィル・ジャクソンコーチ(2007年の Hall of Fame に認定)の写真が飾られています。
また、その2チームの強力なライバルでもあり、88-89・89-90の2シーズンに連覇を成し遂げた、チャック・デイリー監督率いるピストンズも飾られています。

レイカーズ & セルティクス
もう1つ歴史の長いチーム、セルティクス。
チームのロゴマークである故 レッド・アワーバック氏が葉巻をくわえた写真とともに、デイヴ・コーエンス選手やバード選手のジャージが飾られています。
また、ミネアポリス時代のジャージ(故 マイカン選手#99・ベイラー選手#22)と、グッドリッチ選手やジャバー選手のジャージが、若かりし頃のパット・ライリーHCや故 チック・ハーン氏の写真とともに飾られています。

ラリー・オブライエントロフィー
こちらは、NBAファイナルで必ず目にする優勝トロフィーです。
正式には、ラリー・オブライエントロフィーと言います。
特に説明はありませんが、デビット・スターン現コミッショナーの前にコミッショナーを務めていた、ラリー・オブライエン氏の名からとったものと思われます。

もう1つのトロフィー
こちらにも説明は特にないのですが、各シーズンの優勝チーム名が書かれていることから、上のラリー・オブライエントロフィーが導入される前の優勝トロフィーと思われます。
トロフィーというよりは、優勝カップ、と言った方が妥当な形で、現トロフィーよりも巨大です。

台座に
台座には、各シーズンと優勝したチーム名が刻まれているプレートがいくつも貼られています。
優勝したチームは、次のシーズンが始まる頃には、この優勝カップをリーグに返還して、またその次のシーズンに優勝したチームに手渡され・・・を繰り返してきたものと思われます。

Which Next?
1.はじめに
2.Hall of Fame 3F
(Hall of Famersと歴史)
3.Hall of Fame 2F
(バスケットボールの色々)
4.Hall of Fame 1F
(歴代のバスケット)
5.おわりに

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