レプリソーム グッズコラム

Vol.8 レアグッズ

はじめに

 前回のレアジャージでは、諸々の事情で種類を問わず、NBAジャージに付加価値がつくことをお話しました。今回は、NBAジャージのみならず、「レアになるグッズ」についてお話しようと思います。
ここ最近のジャージでは

 05-06シーズンオフにベン・ウォレス選手がピストンズからブルズへ移籍しました。
一方で、ピストンズでは2005-06シーズンより、3rdジャージ(レッド)を導入し始めました。
ここで、この2つを数直線で表現してみたいと思います。


ピストンズでは01-02シーズから現行モデルへ変更し、05-06シーズンから3rdジャージ(レッド)を導入しました(上段)。
一方、ベン・ウォレス選手は、FAとして96年にワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)と契約し、99年にオーランド・マジックへトレード移籍。そして、2000年にグラント・ヒル選手らとのトレードでピストンズへ移籍し、今季(06-07シーズン)からは、ブルズでプレーしています(下段)。

つまり,、ピストンズが3rdジャージを導入し始めてから、1シーズン、05-06シーズンだけしかベン・ウォレス選手は在籍しませんでした。
即ち、ベン・ウォレス選手の3rdジャージが生産されていたのは05-06シーズンの1シーズンのみです。

 この話をまとめると、選手が移籍した時点でその選手のジャージは生産中止となることから、ベン・ウォレス選手のピストンズ3rdジャージは、05-06シーズンしか作られなかったことになります
少し表現を変えれば、1シーズンのみの限定生産ということでもあります。
そして、ベン・ウォレス選手がジャージの変更前までに、ピストンズに出戻って来ない限りは、2度と生産されないことになり、ブルズでも活躍していくと予想されますので、ファン同士で最初で最後に生産された在庫を、競い買いすることになります。

ここ最近のジャージでは 2

 人気やニーズがあって、どんなに大量に生産されたジャージでも、その選手が引退・移籍・背番号の変更・ジャージデザインや色の変更などがあると、その時点でそのジャージの生産は停止します。
そして、大量に存在したジャージも、買われていくことで、徐々にその数が減っていき、最終的には市場から姿を消すことになります。かつて、日本のどこでも見かけたブルズ#23のジョーダン選手のジャージが例として挙げられます。
次に近い将来、同様の例となり得ると考えられるのは、コービー・ブライアント選手の#8のジャージです。今季06-07シーズンからは、#24をつけることになりました。早く入手されたい、と思う方もいらっしゃるかと思います。

ですが、ちょっと考えてみて下さい。
コービー選手のジャージの遷移を、先ほどのようにグラフで考えると次のようになります。
1996年にレイカーズに入団して以来、マジック・ジョンソンが着用していたモデルと同じデザインのジャージに袖を通し、99-00シーズンに現行デザインに変更がなされ、05-06シーズンまでそのデザインの#8を着用していました。この時点で#8のジャージの生産は停止します。

05-06シーズンオフに、#24着用が決定してから生産が始まり、今後も移籍・引退・背番号変更をしない限り、ずっと作られていくことになります。
つまり
#8のジャージは 「もう今しか入手できないジャージ(=もう生産されないジャージ)」ということになり、

#24のジャージは「これから先も入手できるジャージ」ということになります。

そのため、前者が時間が経つにつれて数が減っていくことになり、すでに生産が中止しているため、レア度が徐々に上がっていきます(HWCのような再販のケースは除きます)。このことは、ルーキーから98-99シーズンまで着用していたジャージ(マジック・ジョンソンと同じモデル)が、今では入手できないことからもおわかりいただけるかと思います。
他に、コービー選手と同じ例として、#32から#1へ変更したサンズのアマレ・スタウダマイアー選手が挙げられます。

3rdジャージ

 2006年現在、30チーム中22チームが3番目の色のジャージ、3rdジャージを持っています。※特定の選手のジャージをコレクションしている方にとって、ちょっとやっかいな存在です。
と、いうのも、この3rdジャージは、他の2つの色と異なり、頻繁に変更があるためです。
ジャージのデザインが変更された時に、新たに導入されることもあれば、削除されて2色だけになる場合もあります。ここ2〜3シーズンを見ていると、そのケースはまばらです。
<06-07シーズン現在での3rdジャージ保持チーム数>
EAST

アトランティックディビジョン:4チーム
 セルティクス(ダークグリーン)、76ERS(ブルー)、ネッツ(レッド)、ウィザーズ(ゴールド)

セントラルディビジョン:3チーム
 ヒート(レッド)、ホークス(イエロー)、ボブキャッツ(ネイビー)

サウスイーストディビジョン:3チーム
 ヒート(レッド)、ホークス(イエロー)、ボブキャッツ(ネイビー)
WEST

パシフィックディビジョン:全チーム
 レイカーズ(ホワイト)、クリッパーズ(ブルー)、キングス(ゴールド)、ウォリアーズ(オレンジ)、サンズ(オレンジ)

ノースウェストディビジョン:全チーム
 ウルブス(ブラック)、ソニックス(イエロー)、ブレイザーズ(レッド)、ナゲッツ(ネイビー)、ジャズ(スカイブルー)

サウスウェストディビジョン:2チーム
 ホーネッツ(イエロー)、マーベリックス(グリーン)

※各シーズン開幕までに、3rdジャージ採用が決定していたチームを対象としています。
<各チームの3rdジャージ変更のケース>
廃止のケース
ペイサーズ
 レジー・ミラー選手引退後にデザインを一新し、3rdジャージであったイエローを廃止。
ラプターズ
 2006-07シーズンから3rdジャージを廃止(アウェイのパープルを廃止して2色のみ)。
バックス
 2006-07シーズンからデザイン変更に伴い、3rdジャージを廃止。
導入のケース
ホークス
 2006-07シーズンから3rdジャージにイエロー導入。
ボブキャッツ
 2006-07シーズンから3rdジャージにネイビー導入。
ピストンズ
 2005-06シーズンから3rdジャージにレッド導入。
キャバリアーズ
 2005-06シーズンから3rdジャージにネイビー導入。
ナゲッツ
 2005-06シーズンから3rdジャージにネイビー導入。
キングス
 2005-06シーズンから3rdジャージにゴールド導入。
ウィザーズ
 2006-07シーズンから3rdジャージにゴールド導入。
変更のケース
マーベリックス
 1シーズンのみグレーを生産し、現行モデルとしてグリーンを採用。
ネッツ
 グレーからレッドに変更。




参考文献
 HOOP 00-01 Sep P83(日本文化出版株式会社)
 NBA Encyclopdeia 3rd edition P798(Jan Hubbard 編)
 DUNK SHOOT 2006-07 SEASON NBA COMPLETE GUIDE(株式会社 日本スポーツ企画出版社)
 DUNK SHOOT 2005-06 SEASON NBA COMPLETE GUIDE(株式会社 日本スポーツ企画出版社)
 DUNK SHOOT 2004-05 SEASON NBA COMPLETE GUIDE(株式会社 日本スポーツ企画出版社)

上のことからも、3rdジャージがここ2〜3シーズンで目まぐるしく変化(廃止・追加・変更)していることが、おわかりいただけるかと思います。当然、3rdジャージも色やデザインの変更があれば、他の例と同様に生産はその時点でストップします。
こうした場合、特定の選手をずっと追いかけてジャージを蒐集している、コレクターの方にとってみれば、集め損なう可能性が増し、集めたいと思うジャージが次々と現れることになり、ご予算の都合のことも考慮に入れると、ますます入手出来なくなる可能性が高まります。

また、「目まぐるしい」という点では、ブレイザーズ→ホークス→ピストンズと1シーズン中に移籍した、ラシード・ウォレス選手、セルティクス→ホークス→セルティクスと移籍したアントワン・ウォーカー選手のホークスのジャージも、この例に挙げられます。特に、両選手ともホークスには1シーズンといなかったので、レプリカジャージなどが生産されたのか不明ですが、ずっと両選手のファンという方にはレアなグッズの1つと言えます。

時間によるもの 1

 上では2つのジャージを例に挙げましたが、それ以外のケースを考えてみたいと思います。
上と以前お話したジャージについては、市場に存在する、あるいは残った数がレアになる原因でしたが、これからお話するのは、経過時間によるものです。
具体的な例としては、つい少し前に入荷してきたコービー・ブライアント選手などのマクファーレン・フィギュアです(下写真)。
この商品は、NBAで活躍するスター選手をモチーフに、『シリーズ〜』というように、毎年取り揃える選手を変更、または同じ選手でもポーズを変えたりすることで、毎年異なったデザインのフィギュアを生産しています。

そのため、翌年になると新しいシリーズが販売され、未確認ですが古いシリーズは生産中止となるようです

※アメリカでは前シリーズの商品に付加価値を認め、上乗せ価格にて販売している会社をしばしば見ます。
そして、生産中止という点から、ジャージと同じ理由でレア度が増し、同じように価格上昇につながります。ただ、ジャージは、その選手がそのチームに在籍し続ける限り生産されますが、このフィギュアは1シーズンの時間が経過すると選手の状況に関わらず生産中止になります
つまり、ジャージは「来年もA選手はあのチームにいるから、来年買おう」ということが可能ですが、このフィギュアはモチーフの選手がそのチームに在籍し続けようと・し続けまいと1シーズン経過すると生産中止となるため1シーズンを過ぎた時点でデッドストックを探して購入、ということになります

ちなみに、レジー・ミラー選手が引退するシーズンには、同選手もこのフィギュアが生産されましたが、インディアナから少し離れた州では、「この商品は1シーズンしか生産されない上に、04-05シーズンで引退する(=現役選手としては最後の販売・再販が数シーズン先まで見込めない)」ということで、すでに04-05シーズン終了前から付加価値をつけていた販売会社を目にしました。

シリーズと版

 シリーズのある物については、上のマクファーレンフィギュア通り、古い物に付加価値がついていくということがあります。マクファーレン・フィギュアの新旧に対して「シリーズ」という言葉を使い、似たような言葉で「エディション(edition:版)」という言葉が、NBAエンサイクロペディア(NBA大百科)に使われています。1つ注意していただきたいのは、この場合の『シリーズ(Series)』と『エディション(Edition)』という言葉の違いです。
右の画像は、2001年までのNBAの歴史を編集した『NBAエンサイクロペディア(大百科)』です。各チームの名前の由来や全てのドラフト順位、選手のスタッツが掲載されています。
マクファーレンフィギュアのシリーズに対し、これには新旧を示す単位としてエディションという言葉が使われています。
この商品は、各シーズンに出版されるシーズンガイドとは異なり、何年あるいは10年に1度程度の頻度でしか生産されず、次回の販売までに起きたNBAでの出来事を追加して、次のエディション(版)を出版します
つまり、新しければ新しいほど内容が充実していることになります。そのため、新旧どちらに価値があるかといえば新しい商品です。

時間によるもの 2

 NBAグッズの他に、カレッジ商品にも同じような例が見られます。
永久欠番になるタイミングによるものです。

ある背番号が永久欠番に認定されると、認定後その大学ではその番号を使用出来なくなります。それに伴い、ノベリティグッズであるレプリカジャージも生産がストップし、ここから先は上でもお話した例と同じ理由で、レア度が増していきます。

ここでは、具体例として、DUKE大出身のシェーン・バティエ選手、ジェイ(ソン)・ウィリアムス選手の2選手を例にお話したいと思います。
バティエ選手は、最終シーズン中(2001年の2月)、大学を去る前に背番号#31は、永久欠番になることが決まり、同年の夏にグリズリーズからドラフト指名されることになります(右・上図)。


一方、ジェイ(ソン)・ウィリアムス選手は、2002年の夏ブルズからドラフト指名され、NBAでプレーし始めた3ヶ月後、年が明けた2003年の1月に、背番号#22が永久欠番になることが決定しました(右・下図)。




つまり、永久欠番の認定とNBAへの移行(または卒業など)が決まった時点で、「来季では、バティエ選手のジャージを入手できない」ことが、すぐに判断できますが、ウィリアムス選手の場合は、NBA移行後でもその時点で永久欠番になっていなければ、「同じ背番号をつける選手のジャージを買えばいい」という選択肢が残されています
しかし、思いもかけず次のシーズンに入ってから永久欠番に認定されると、その時点で再生産がないことが決定し(リバイバル商品は除く)、昨シーズン最後の商品バッチが作られてから、かなりの時間が経過していることになるので、この時点で当時の在庫を探すのはかなり難しくなります。

永久欠番に認定されるとグッズの生産はなくなり、そのタイミングは必ずしも、選手がNBAに移行する時点、または4年生を卒業する時点とは限りません。これが問題です。

※・・・ノースカロライナ大の#42がドアティ選手-スコット・ウィリアムス選手-スタックハウス選手と、80年代中盤〜90年代中盤の間、ほぼ合間をおかず着用されていた前例があります(但し、必ずしも全員が商品化されるとは限りません)。

レアになる可能性とサンズ背番号#1

 シーズンに、サンズの一員となり日本を沸かせてくれた田臥勇太選手ですが、残念なことにシーズン終了を待たずしてチームを去ることになってしまったのは、みなさんもよくご存知かと思います。その時、田臥選手が使用していた背番号#1は、現在アマレ・スタウダマイアー選手が使用しています。

そのため、田臥選手のジャージが生産中止という以外に、再び田臥選手がサンズの一員になれた時にスタウダマイアー選手が背番号#1を譲ってくれない可能性を考えると、サンズ#1の田臥選手のジャージは、最初に在籍したごくわずかな期間のみの生産数量しか存在しないことになり、レアになる可能性があります。
これは以前、お話しましたB.J.アームストロング選手が、ブルズ#10を使用し、他チームへ移籍したあと再びブルズへ戻ってきた際には、#10が永久欠番にっており使用できなかったケースに似ています。




背番号#1は、現在ではスタウダマイアー選手が使用
まとめ

 どんなグッズも開発・生産された後、選手の移籍・引退、メーカーの方針など諸々の事情で、いつかは生産中止となります。その中のいくつかは、折をみて普通に再生産される物もあれば、メーカーが変わって別の会社から再生産されることがあります(Mitchell & Nessの再販など)。
しかしながら、全てのグッズが再販されるわけではありません。

 生産中止となった時点から、その商品は最後に生産されたバッチ(最後に市場へ出た在庫)しか存在しないことになります。つまり、もう増えることのない限りある数量だけしか存在せず、購入されていくことで、除々にその数は減っていきます。そして市場に数えるだけの数量になった頃から、付加価値がつき始め、レア度(価格)が増して行くことになります。

<生産中止=市場の数が減る→レアになる=価格が上がる・入荷と入荷が困難になる>

 以上のような経緯をたどって、付加価値がついていきますため、生産中止になったら黄色信号です。多くの商品について、上の< >内のようになると考えていただいて、差し障りないかと思います。特に、シリーズのある物については、選手の移籍などに関係なく市場から姿を消していくのでご注意下さい。
価格が上がっても入手できる間はいいのですが、入荷すら困難になることがございますので、商品があるうちに逃すことなくお求めいただければと思います。

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